自作ゲーム「紫伝」とシューティングゲーム

この記事はKMCアドベントカレンダー(http://kmc.hatenablog.jp/entry/2016/11/30/140316) 18日目の記事です。

昨日の記事は、id:balar さんの「KMC入部200日記念日」でした。

balar.hatenablog.jp

はじめに

KMC1回生のid:opesanです。つい先日第40代文レク*1に就任しました。ゲームのディレクターをしたり、DTMで曲を書いたりしています。

KMCでは新入生プロジェクト*2として、「みんなでゲームを作る」というプロジェクトを行なっています。このプロジェクトは、1回生が中心になって、上回生のパワフルな皆さんのお力添えをいただきながら、文字通りみんなで一つのゲームを作ろうというものです。

「みんなでゲームを作る2016」では、二つのゲームのプロジェクトが存在します。「紫伝」と「war in vivo」です。前者が「弾幕ゲーム」、後者が「ターン制ストラテジー」となっております。中間報告書は
みんなでゲームを作る2016 中間報告書 - KMC活動ブログ
です。

どちらもNFでは体験版を公開、NFCD*3に収録しました。また、C91(コミックマーケット91)での頒布を予定しております*4

そして、私はこのうち「紫伝」のディレクターを務めさせていただいております。

紫伝とはどんなゲームか

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上で紫伝のジャンルを「弾幕ゲーム」と記しましたが、このゲームは少し特殊な弾幕ゲームになっております。

何故、「シューティングゲーム*5」ではなく、「弾幕ゲーム」なのか。

それは、「シュートしない」からなのです。

……。

お前は何を言っているんだという感じですね。

このゲーム、敵が出てきて弾を撃ってくるのは普通のSTGと同じなのですが、自機が弾を撃ちません。自機は刀を持っており、その刀で斬りかかるのです*6

そのため、このゲームのコンセプトは、

「避けて、斬る」

なのです。

攻撃はゲージを溜めて使用します。回避というコマンドがあり、これによって弾を回避(消し)て、ゲージを溜めることが出来ます。

つまり、避けて避けて避けまくって、敵に大きな一撃をお見舞いするのです!

 

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とまあ、こんな感じのゲームです。もうちょっと内容に踏み込んで色々と説明することは出来るのですが、それではただの説明書になってしまいますし、これくらいにしときます。

紫伝を作ろうと思った理由

なんで私がこのようなゲームを作りたいと思ったか。それはSTGの「避ける」という動作に寄り添いたいと思ったからです。

最初は漠然とSTGを作りたいなと思ったのですが、普通に作っては面白くもないし、実際ゲーム制作初心者が数人で集まったところでアーケードのSTG東方projectのような作品は作れません。

だから、私はSTGの何か新しい可能性を見たいと思いーー「避ける」動作に集中することに決めました。

実際、これは挑戦でした。出来たゲームが果たして何を示すのか。ディレクターとしてある程度の指針は持ってやっていますが、実際に完成したとき、どのようなものが出来るのか自分でも予想できない所はあります。

STGというゲーム

STGというゲームは、全てのゲームの中でもトップクラスに寄りつきにくい作品だと思います。

敵が弾を撃ってきて、自分は弾で敵を倒す。それだけの単純なことであるが、単純であるがために難しい。

当たったら死、三〇分にも渡る一発勝負……緊張感。

STGをやっているときの感覚は他のゲームをやっている時のものと全く違います。

仲間とともに敵を倒すのでもない、対戦相手を打ち負かすのでもない、"ゲーム"と1対1で向き合う。この完全な感覚が得られるのは、STGだけだと感じます。

STGは最も難しいゲームであると同時に、インベーダーから始まる最も基本的なゲームでもあります。

だから、私はまずKMCでSTG(正確にはショットしませんが……)を作ろうと思ったのです。

STGと私

私がSTGに初めて出会ったのは、小学校低学年の頃でした。私はその時はゲーム機を全くもっておらず、そもそも電子ゲームというものをした経験がありませんでした。

そんなときに、小学校の隅に置いてあった古いブラウン管PCに入っていたゲームと出会いました。

それが、STGだったのです。

初めてそのゲームをやったときの興奮は忘れられません。

私の小学校ではちょっとしたブームになり、高学年でクリアしたものが出たと聞くと、自分もクリアしたいと思い挑戦していきました。

結局、私はこのゲームをクリアできませんでした。

小学生なので、ブームは一瞬で過ぎ去ります。誰もやる人はいなくなり、やがて私もやらなくなります。

それからすぐに電子ゲームにハマるようになり、モンハンブームの直撃など受けながら*7育ちます。

ただ、私は自分のゲームスタンスに、ゲームは遊びとだけみなす多くの人との違いを感じたりしていました。自分にとってゲームは遊びとしての感覚だけでなく、ゲームは「ゲーム」であったのです(勿論、遊びとしてだけのゲームも好きなのですが、遊びとしてのゲームと「ゲーム」の側面を持つゲームは別にありました)。eスポーツとしてのゲームが近いかもしれません。まあ、これといってゲームが得意なわけではないんで、心意気の問題ですが……。

STGは「難しいから……」という理由で敬遠していました。

しかし、高校に入ってすぐ、ある新刊ラノベ*8を購入ます。

FORTHシリーズ 連射王<上> (電撃文庫)

FORTHシリーズ 連射王<上> (電撃文庫)

 

 ホライゾン*9ファンの私は作者から買ったのですが、結局この作品を読んだことで、私はまたSTGをプレイするようになります。

物語をかいつまんで言えば、何事にも本気になれない主人公が、STGに本気を見いだし、STGと向き合い、攻略して行く話です。まあ、すごくマニアックな作品ですよね。巻末にSTG年表とかついてるし。

ただ、私はこの作品に深く共感*10し、「STGをやろう」と思い立ちます。

ただ、近くにSTGのおいてあるゲーセンもなく、始めたのは「東方紅魔郷*11です。

パターンを覚えて、動きを練習し、100回以上繰り返し二ヶ月かけてようやくノーマルをクリア*12した時の喜びは忘れがたいものです。

それからは東方作品を中心にやりつつ、たまにゲーセンに行ったときに置いてあるゲーム(雷電19XXが多かったように思えます)をやってSTGを楽しみました。

大学に入ってゲーセンに通いやすくなり、さらにこの「紫伝」というゲームを作るに当たって、もっとSTGの基礎ーーつまりゲーセンにあるアーケードゲームSTGをやりたいと思い、現在は「怒首領蜂大往生 ブラックレーベル*13を攻略中。

高校時代はあまり機会が持てませんでしたが、やっぱりゲーセンの隅で一人筐体と向き合うのは、何か特別な感じがします。心地よさと緊張感と、色々が混じった……

あんまりゲーセンでSTGしないよって方も、是非一度脚を運んで、実際に筐体でやって欲しいですね。

 

さいごに

紫伝の宣伝をしようと思っていたら、STGの宣伝になっていた……

なんかすごい私情の話になったような……

まあつまり、初めてゲームを作るに当たって、縁のあるSTGをやりたかったのですよ。

「紫伝」は冬コミ頒布物に収録予定ですが、少しでも多くの人に楽しんで貰えれば嬉しいです。そして、STGに興味の無い人がちょっとでも興味を持ってくれたら……なお嬉しいですね

 

いや、綺麗にまとまってないから

 

KMCアドベントカレンダー2016、明日の記事は id:_primenumber さんで、「GPGPUでオセロする話」です。

primenumber.hatenadiary.jp

 

 

*1:文化レクチャーコンパ委員:要するにコンパやる人

*2:新しくKMCに入ってきた人向けのプロジェクト。他にもプログラミングやDTMなど、いくつかのプロジェクトがある。詳しくは
新入生プロジェクト カテゴリーの記事一覧 - KMC活動ブログ

*3:毎年KMCがNF(京都大学11月祭り)に販売している、ゲームや曲などが詰まったCD

*4:京大マイコンクラブは12/29(木)西ほ40-bに出店しており、部員の書いた部誌やたくさんのゲームや曲などが入ったCDも頒布しておりますので、是非お越しください

*5:以下、STG

*6:とは言っても実際に自力で近づいて斬りかかるのは厳しいので、無敵となり自動で斬りに行ってくれます

*7:2ndGの頃、訓練所のタイムアタックにハマって毎日ティガレックスと戯れたのはいい思い出ですね

*8:実際には2007年発売の同名小説の文庫版

*9:境界線上のホライゾン。通称鈍器。一冊1000Pあることで有名ならラノベ作品。私はこの作者、川上稔さんのファンです

*10:この小説で、もうプレイできないSTGを探して過去にとらわれている人物が登場しますが、実際私も小学校にあったタイトルも忘れたSTGを探し続けて捕われているように感じます

*11:東方project第六作目の作品で、東方を世に知らしめた弾幕STG

*12:STGでいうクリアとは、基本的に「ノーコンティニュークリア」、「ワンコインクリア」と呼ばれる、リトライをせずにクリアすること

*13:CAVE発売の弾幕STG怒首領蜂弾幕STGの開祖とも言われる。京大近くだと、河原町のa-choにある。二面ボス弾幕きつすぎんだけどコレ